SDGsに沿った関連食品・飲料の受容性は? 中編
「物価高とSDGsに関する調査」結果を基に解説
近年、注目を集めているSDGs。その観点から作られた食品や飲料は、高価なイメージがあると言われています。本記事では、2022年から食品・飲料の値上げが続き、賃金上昇がそれに追いつかない状況で家計に負担がかかる中、SDGsに基づいた食品・飲料への受け入れ度はどうなのか、また、どのようなSDGsの商品であれば、少々高価でも購入してもらえるのかについて、自主調査の結果を基に、前編・中編・後編の3回に分けて解説していきます。
前回は、SDGsに配慮した食品や飲料に対する購入意向の高さと、その意向が高い層の特性について見てきました。しかし、「SDGsに配慮した」とは具体的にどのような商品を指すのでしょうか。今回の<中編>では、一般の消費者がどのような「SDGsに配慮した食品・飲料」をイメージしているのか、自由回答を通じて探ってみましょう。
<Contents>
・生活者がイメージするSDGsに配慮した食品・飲料とは?
・商品・企業ブランドで純粋想起されたのは?
・今回のまとめと次回の予告
生活者がイメージするSDGsに配慮した食品・飲料とは?
今回の調査では、対象者の約半数が「思いつかない/特にない/知らない」と回答しています。
自由回答のアンケートでは、このような回答がよく見られます。しかし、「企業の取り組みは理解できるが、それが具体的な商品にどのように反映されているかは分からない」「詳しくは理解できないので、関連する食品や飲料に明確な表示があれば助かる」という意見も寄せられました。これらのコメントから、企業の取り組みは理解しているものの、具体的な商品との関連性が見えづらい、またはSDGsを意識しながら商品選択を行っていない人が半数を占めているとも読み取れます。
ではここから、それ以外の具体的な自由回答結果についても見てみましょう。アフターコーディングを行った結果、上位10大キーワードグループを抽出しました。<表1>
表1:SDGsに配慮した食品・飲料のイメージ(自由回答結果より)
脱プラ・容器包装(簡易包装、ラベルレス、リサイクルPET) | 9.7% |
具体的な商品・企業名 | 9.6% |
フードロス・廃棄削減(賞味期限、訳アリ・規格外、小分け・食べきりサイズ) | 6.9% |
フェアトレード(コーヒー、チョコ、バナナ等) | 6.1% |
環境・地球にいい | 5.1% |
代替食品・植物由来食品(大豆ミート、昆虫食、植物ミルク等) | 4.9% |
オーガニック・無農薬 | 1.5% |
リサイクル・再利用 | 1.3% |
エコ・エコロジー | 1.2% |
地産地商 | 1.1% |
SDGsに関連する食品・飲料のイメージとして、最も多く挙げられたのは「脱プラ・容器包装(簡易包装、ラベルレス)」、次いで「具体的な商品・企業名」、「フードロス・廃棄削減(賞味期限、訳アリ・規格外、小分け・食べきりサイズ)」、「フェアトレード(コーヒー、チョコ、バナナ等)」と続きます。
この結果から、生活者がSDGsとリンクして認識している主な商品は、プラスチックの削減や簡易包装を採用した商品、食品廃棄を削減するための取り組み、フェアトレードを明記した商品やサービスが中心であることが見て取れます。
生活者がイメージするSDGsに配慮した食品・飲料とは?
では次に、今回の調査対象者がSDGsに配慮した食品・飲料と聞いて連想した「具体的な商品・企業名(9.6%)」の内訳をみてみましょう。<表2>
表2:具体的な企業・商品名 ~SDGsに配慮した食品・飲料のイメージより~
集計ベース:企業名・商品名記入者のべ124名を100とした場合
サントリー系ブランド(サントリー、いろはす、特茶) | 32.3% |
キットカット | 12.9% |
アサヒ系ブランド(アサヒ、三ツ矢サイダー、カルピス) | 8.9% |
コカ・コーラ系ブランド(コカ・コーラ、アクエリアス) | 6.5% |
スターバックス | 5.6% |
イオン系ブランド(トップバリュ、プライベートブランド、WAON) | 5.6% |
キリン系ブランド(キリン、生茶) | 4.8% |
ヱスビー食品(エスビー食品、わさび) | 4.0% |
日清食品系ブランド(日清、カップヌードル) | 3.2% |
セブンイレブン | 2.4% |
最も多く想起されたのは、「サントリー系ブランド」でした。次いで、「キットカット」、「アサヒ系ブランド」、「コカ・コーラ系ブランド」、「スターバックス」、「イオン系ブランド」、「キリン系ブランド」などが続きます。
確かに、日常生活の中で、飲料大手をはじめとする食品・飲料メーカーがリサイクルPETの利用やラベルレス化、包装の簡素化などに対応した商品を目にすることが増えました。
また、大手流通において、食品ロス削減のための見切り品の取り扱いや手前どりなどの取り組み、さらには各種認証を取得したプライベートブランドを手に取ることも珍しくなくなってきています。
今回のまとめと次回の予告
今回は、生活者がSDGsに配慮した商品に対するイメージについて調査しました。自由回答の結果からは、依然SDGsが具体的商品とすぐにはリンクしていない生活者が半数近くみられました。しかし一方で、簡易包装やラベルレス、フードロス削減、フェアトレードなどの取り組みを行っている商品や企業、ブランドに対しては一定の認知度があることが分かりました。
しかし、価格が高いというイメージがあるSDGsに配慮した商品の中で、どのような特性を持つものが消費者に購入されやすいのでしょうか?次回の記事では、その点について解説していきます。
次回<後編>へ続く(2023年9月26日公開予定)
関連ページ
> SDGsに沿った関連食品・飲料の受容性は? 前編
> SDGsに沿った関連食品・飲料の受容性は? 後編(2023年9月26日公開予定)
> SDGsプロデューサー 沢村愛弓オフィシャルサイト(https://sawamura-ayumi-sdgs.com/)
>無料自主調査レポート「物価高とSDGsに関する調査」(近日公開予定)