物価高騰時の購買行動 前編
「物価高とSDGsに関する調査」結果を基に解説
この記事では、物価が上昇する中での消費者の買い物の傾向について詳しく解説します。 食品や飲料の価格が上がり、家計が厳しくなる中で、消費者はどのように工夫して対応しているのか、どの食品や飲料カテゴリーに対する意識が変わっているのか、そして企業の値上げに対する感想はどうなのか、などについて調査結果をもとに説明します。本テーマは、前編、中編、後編の3部構成でお届けします。
今回は<前編>です。
まず、本編では、現在の生活者が自身の暮らし向きに対してどのように見ており、さらに食品・飲料についてどのような行動をとっているかを、見てみたいと思います。
<Contents>
・生活者が感じている現在の暮らし向きは?
・物価高騰による食品・飲料の買い物の工夫は?
・今回のまとめと次回の予告
生活者が感じている現在の暮らし向きは?
まずは、全体の家計について見てみましょう。
全体の16.0%が「生活はゆとりがあり、全く心配なく暮らしている」と回答しています。一方で、「生活にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した人が最も多く、40.6%を占めています。また、「生活はゆとりがなく、多少心配しながら暮らしている」は30.4%、「生活は苦しく、非常に心配しながら暮らしている」は13.1%となっています。<図1>。
図1 あなたのご家庭の経済状況についてお知らせください(n=2189)
次に、年代別の家計の状況を見てみましょう。30代、40代、50代の3年代で、「多少心配しながら暮らしている」人と「心配しながら暮らしている」人が過半数を占めていることが分かります。
これらの結果から、30代と40代の子育て世代は、全体に比べて生活にゆとりがなく、心配しながら暮らしている人が多いことがわかります。この年代は、子育てというライフステージにいる人が多いことが特徴です。従って、子育て世代特有の経済的な負担や、子育てに伴う心配事が影響している可能性が考えられます。
また、50代の生活者は、子供の進学、老後の準備などをするライフステージいる人が多いことが特徴です。したがって、子供の教育費や老後の生活費など、さまざまな出費が重なる年代であることが影響しているかもしれません。また、「生活はゆとりがあり、全く心配なく暮らしている」の割合が全体よりも低いことから、50代の経済的な厳しさが伺えます。
物価高騰による食品・飲料の買い物の工夫は?
次に、生活者の物価高騰時における食品・飲料の買い物の仕方について見てみましょう。
全体的な傾向として、36.1%の人が「より安いお店を利用する」ようになり、33.3%の人が「お買い得品・キャンペーン品を選ぶ」ようになりました。また、27.3%の人が「値引きやタイムセールのタイミングを狙って買い物をする」ようになり、25.3%の人が「高価な商品を買うのを控える」ようになりました。しかし、「特に何も変わらない」との回答も26.2%見られました。<図2>
図2 食品・飲料の買い物の仕方の変化(n=2189)
家計の状況別に見ると、「ゆとりがある」層では、28.2%が「より安いお店を利用する」ようになり、26.6%が「お買い得品・キャンペーン品を選ぶ」ようになりました。一方で、39.4%の人は「特に変わらない」と答えています。また、「心配が少ない」層では、32.2%が「より安いお店を利用する」ようになり、34.9%が「お買い得品・キャンペーン品を選ぶ」ようになりました。しかし、29.6%の人は「特に変わらない」と答えています。
次に、家計が「多少心配」と答えた人の中では、39.9%が「より安いお店を利用する」ようになり、35.1%が「お買い得品・キャンペーン品を選ぶ」ようになりました。また、33.1%の人が「値引きやタイムセールのタイミングを狙って買い物をする」ようになり、28.9%の人が「購入する商品の量を減らす」ようになっています。
今回のまとめと次回の予告
これらの結果から、物価高騰により消費者の買い物の仕方に変化が見られると同時に、家計の状況によってその対応は異なることがわかります。
ゆとりがあると答えた人や心配が少ないと答えた人は、特に何も変わらないと答える人が多い一方で、多少心配と答えた人は、より節約志向の買い物の仕方に変化していることが見受けられます。これは、物価高騰が特に家計に余裕のない人々に大きな影響を与えていることを示しています。
次回のコラムでは、生活者の食品・飲料のカテゴリーに対する意識について、紹介します。
次回:物価高騰時の購買行動<中編>(2023年10月24日公開予定)
関連ページ
> 物価高騰時の購買行動 中編(2023年10月24日公開予定)
> 物価高騰時の購買行動 後編(2023年11月7日公開予定)
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> 無料自主調査レポート「物価高とSDGsに関する調査」(近日公開予定)