企業がSDGsを推進するには 後編
「勤務先のSDGs取り組みに関する意識調査」結果を元に解説
国連が提唱するSDGsは、2030年までに解決すべき社会課題の目標となっています。これは政府や企業だけでなく、私たち一人一人の生活にも関わる大切な課題です。そこで、企業がSDGsを推進し、達成するためには、社員一人一人の協力が不可欠です。
このコラムでは、さまざまな規模の企業で働くビジネスパーソンたちを対象に、彼らがどのようにSDGsについて認識し、自分の会社の取り組みをどう評価しているのかをまとめました。本テーマは、前・中・後編の3回シリーズでお届けします。
今回は<後編>です。
中編では、SDGsは「ブランドイメージ向上」には効果的だが、企業成長との結びつきがイメージできない社員は多いことが把握されました。また、SDGs自体への理解も深くないため、慎重な意見にとどまる傾向があることも分かりました。 そこで、本篇では、社員を巻き込んでSDGsを推進するためのヒントのために、「自分の会社のSDGsの取り組みを理解している」社員に焦点を当てて、探索していきます。
<Contents>
・SDGsの取り組みを理解している有職者の意識
・勤め先のSDGsの取り組みの認知経路
・今回のまとめと次回の予告
SDGsの取り組みを理解している有職者の意識
中編では、有職者全体に対し、「ブランドイメージ向上につながる 」、「得意先との関係維持・強化に必要」、「新しい事業機会や市場機会につながる」、「人材の採用や社員の定着につながる」の4つの場合について、SDGsの17の目標が、自分たちの勤め先にどのような効果をもたらすと思うか、聴取しました。 ここでは、勤め先の取り組みを「認知・理解している人」に同じ質問をしたときの回答結果を見てみましょう。<図1>
図1 SDGsが企業活動に与えると思う効果(認知し理解している人n=65)
自社のSDGsについて理解している人は、今回提示した4つの企業活動の場合において、いずれの反応率も高くなっています(点線は有職者平均との比較です)。また、「分からない・当てはまるものはない」と回答した人は少ないです。
つまり、SDGsの取り組みについて理解度が高いと、様々な取り組みに対して全体的にポジティブな反応を示します。言い換えると、社内での認知度を広げ、理解を深める施策が重要となります。 では、どのように社員の理解を深めていったらよいのでしょうか。
勤め先のSDGsの取り組みの認知経路
次に、「自分の勤め先でSDGsの取り組みが行われている」と答えた方々に、どのようにその情報を得たのかを尋ねた結果を見てみましょう。<図2>
表1 勤め先でSDGsの取り組みがある人の認知経路(n=220)
全体的に見ると、情報源としては担当部署(33.8%)、社長や経営層(33.0%)、会社のホームページ(26.7%)の3つが上位に来ました。また、SDGsの実施率の高い、従業員規模が1001人以上の企業勤務者も、ほぼ同様の順位になっています。
では、「実施をしており、かつ内容を理解している」との回答者と、「実施しているが、内容は不詳」と回答した人の差にフォーカスしてみましょう。5ポイント以上の差が出たのは、社長や経営層(20ポイント)、自社の商品やサービス(14ポイント)、担当部署(13ポイント)、社内研修(6ポイント)の4つの項目でした。 つまり、社内浸透には、担当部署や研修の他、社長・経営者からのメッセージが重要であり、また自社商品・サービスへの落とし込みもキーになると言えそうです。
今回のまとめと次回の予告
これらの調査結果から、SDGsの取り組みについて理解度が高いと、様々な取り組みに対して全体的にポジティブな反応を示します。言い換えると、社内での認知度を広げ、理解を深める施策が重要となります。
さらに、社内浸透には、担当部署や研修の他、社長・経営者からのメッセージが重要です。経営者が強いリーダシップを発揮しSDGs経営方針を推進するからこそ、担当部署との連携もすすみ、社員への浸透が進むと言えます。その一環として、さらに、SDGを付加価値として自社商品・サービスへの落とし込みをする方針をとることで、社会課題の解決と企業成長がリンクしやすくなるのでしょう。
本テーマはこれで終わりです。
次回は、食生活とモヤモヤした経験に関する調査結果の前編をお届けします。お楽しみに。
次回:食生活とモヤモヤした経験 <前編>(2024年1月後半公開予定)
関連ページ
> 企業がSDGs推進するには 前編
> 企業がSDGs推進するには 中編
> SDGsプロデューサー 沢村愛弓オフィシャルサイト(https://sawamura-ayumi-sdgs.com/)
> 無料自主調査レポート「物価高とSDGsに関する調査」(近日公開予定)
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