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企業がSDGsを推進するには 前編

企業がSDGsを推進するには 前編
「勤務先のSDGs取り組みに関する意識調査」結果を元に解説

国連が提唱するSDGsは、2030年までに解決すべき社会課題の目標となっています。これは政府や企業だけでなく、私たち一人一人の生活にも関わる大切な課題です。そこで、企業がSDGsを推進し、達成するためには、社員一人一人の協力が不可欠です。

このコラムでは、さまざまな規模の企業で働くビジネスパーソンたちを対象に、彼らがどのようにSDGsについて認識し、自分の会社の取り組みをどう評価しているのかをまとめました。本テーマは、前・中・後編の3回シリーズでお届けします。

今回は<前編>です。

<Contents>
・勤め先のSDGs取り組みに対する認知と浸透状況
・勤め先の企業が取り組んでいるSDGsの内容
・今回のまとめと次回の予告

勤め先のSDGs取り組みに対する認知と浸透状況

まず、有職者に対し勤め先のSDGsに関する取組について、聴取した結果を見てみましょう。<図1>

全体の回答者のうち、28.2%が自社のSDGsへの取り組みがあると答えました。しかし、その内容まで理解していると答えた人は8.3%と、全体の1割未満で、SDGsへの深い理解はまだ広まっていないようです。

また、会社の規模によってもSDGsへの取り組みの実施率は変わり、大きな会社ほど取り組みが進んでいる傾向が見られました。特に、従業員数が1,001人以上の大手企業勤務者では、認知・実施率が46.3%と全体の平均の1.6倍となっています。 さらに、職位による違いも見られ、管理職の人の中でSDGsへの取り組みがあると答えた人は42.4%でした。一方、一般社員ではその数が24.5%と約半数にとどまり、また「分からない」と答えた人が4割に上るという結果となりました。

図1 勤め先のSDGs取り組みに対する認知と浸透状況(n=788)
引用:MSS「勤務先のSDGs取り組みに関する意識調査

勤め先のSDGs取り組みに対する認知と浸透状況

次に、回答者の職場で行われているSDGsの取り組みについて見てみましょう。<図2>

図2 勤め先が実施しているSDGsの内容(n=実施認知者220名)
引用:MSS「勤務先のSDGs取り組みに関する意識調査

まず、職場で行っているSDGsの取り組みについて見てみましょう。全体的には、「働きがいと経済成長を両立させる」が28.7%で最も多く、「ジェンダー平等を実現する」が23.9%、「製品の製造と使用に責任を持つ」が22.4%と続いています。これが上位3つの取り組みです。

次に、企業の規模による違いを見てみましょう。300名以下の小規模企業と1001名以上の大企業では、「ジェンダー平等を実現する」「パートナーシップで目標を達成する」「すべての人に健康と福祉を提供する」などの取り組みにおいて、特に取り組みの度合いに大きな差が見られます。一方で、「製品の製造と使用に責任を持つ」については、企業規模に関わらず取り組みの度合いに差は見られませんでした。

今回のまとめと次回の予告

これらの結果から、SDGsへの取り組みを実施しているのは大手企業が中心であるものの、中小企業でも2-3割は取組が認知されていいました。なお、社内における認知・浸透は、多くは管理職まであり、一般社員は限定的だということが分かりました。

また、企業の規模によって取り組みの重視度に差が見られる点も興味深いです。特に、300名以下の中小企業と1001名以上の大企業では、「ジェンダー平等を実現しよう」「パートナーシップで達成しよう」「すべての人に健康と福祉を」といった取り組みに対する意識に大きな差が見られました。しかし、「製品の生産と消費に対する責任」については、企業規模に関わらず同様の意識があるようです。

では、勤務先のSDGsの取り組み有無にかかわらず、ビジネスパーソンは、社会課題の解決と、企業の取り組みについて、どのように思っているでしょうか?こちらについては次回中編で見て行きたいと思います。

次回:企業がSDGs推進するには~有職者アンケートより~<中編>(2023年12月5日公開予定)


関連ページ

> 企業がSDGs推進するには 中編
> 企業がSDGs推進するには 後編
> SDGsプロデューサー 沢村愛弓オフィシャルサイト(https://sawamura-ayumi-sdgs.com/
> 無料自主調査レポート「物価高とSDGsに関する調査」(近日公開予定)

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