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SDGsネイティブZ世代の食品選択行動

SDGsネイティブZ世代の食品選択行動
-SDGsと物価高騰に関する調査結果より-

Z世代(1998年から2010年生まれ)を中心とする若者たちは、幼い頃から日常生活や学校教育などでSDGsに関する言葉や知識に触れ、環境問題や社会課題に高い関心を持つ特徴があります。これらの人々は、SDGsネイティブと呼ばれています。

彼らはSDGsへの関心が高く、自分たちの生活や行動が持続可能な社会を作る一部であるという認識を持っています。これこそが、SDGsネイティブの特徴とも言えるでしょう。

本コラムでは、「SDGsと物価高騰に関する調査」結果から、Z世代にフォーカスし、彼らの食品選択行動を考察・解説します。

<Contents>
・Z世代はSDGsへの理解も行動意欲も高い
・Z世代にSDGs商品を多少高くても買ってもらうためには?
・今回のまとめと次回の予告

勤め先のSDGs取り組みに対する認知と浸透状況

MSSが2023年8月に実施したアンケート結果では、SDGsを「内容まで含めてよく知っている」人の率はZ世代が4割強とどの世代よりも高いことが分かります(図1)。

図1 SDGsの認知・理解状況(2023年8月時点)

また、Z世代は、SDGsに対する理解が深いだけでなく、それに基づいた行動を起こす意欲も高いことが明らかになっています。具体的には、SDGsに関連する商品を見たときに、購入したいと感じるかどうかを尋ねたところ、Z世代の約4人に1人に当たる26.5%の回答者が「購買意欲が上がる」と答えました(図2)。これは他の世代と比べ、10ポイント近く高い結果です。つまり、Z世代はSDGsに対する関心が高く、それを具体的な行動に移す意欲も強いと言えるでしょう。

図2 SDGs関連商品を見た時の購買意欲について(2023年8月時点)

Z世代にSDGs商品を多少高くても買ってもらうためには

SDGsに関連する商品特徴を17種類提示したところ、Z世代の3割が「多少高くても購入する」と回答しています(図3)。また、選択された特徴の応答数を見ても、Z世代は1.35件と他世代より多くなっています。

この回答結果からも、Z世代のSDGsに対する行動意欲の高さがみてとれます。

図3 SDGsに沿った食品を「多少高くても買う」人の割合

次に、提示した17特徴のうち、「多少高くても購入する」ものについて、世代別の特徴が分かるように、偏差値を算出しました(表1)。

全世代いずれも「保存料・添加物・合成着色料を削減した商品」、「栄養・機能を強化した商品」、「健康に配慮した商品」など、【健康や安全】関連の項目、「地域特産食材を活用した商品」の【地産地消】項目が上位に上がっています。この項目は全世代共通の付加価値となりそうです。

Z世代に着目すると、他世代に比べ、全体的に偏差値が高く、特に「商品の一部が人道活動に寄与される」、「フェアトレード」等、【平等・人道】関連の項目が高いことが特徴的です。また、近年注目される「プラントベース/植物由来のタンパク商品」の偏差値が高く、代替食品への受容度の高さも着目するべき点と言えそうです。

同時に、他世代では偏差値の高い「オーガニック原料を使用した商品」の偏差値が50未満であることも特徴として挙げられます。

表1 「多少高くても買う」SDGsに沿った食品の商品特徴の偏差値(17種類呈示)

今回のまとめと次回の予告

SDGsネイティブであるZ世代の特徴をまとめると、以下の通りとなります。

・SDGsへの理解も行動意欲は、どの世代よりも高い
・多少高くてもSDGsに沿った食品・飲料を購入する人は3割と他世代より高い
・多少高くても買うSDGsの食品・飲料の商品特徴は、他世代とも共通する【健康や安全】、【地産地消】の他に、【平等・人道】、【植物由来代替食品】などにも及ぶ。他世代で評価の高い「オーガニック」には興味度が低い。

企業にとって、SDGsネイティブ世代の観点を取り入れた、商品の企画や開発は、社会や企業の存続に重要な意味を持ちます。SDGsネイティブであるZ世代は、実践意欲が高いため、彼らの実践を後押しするような商品提案をするには、彼らが何を重視し、何を求めているかを知ることが重要です。

次回のコラムでは、新テーマ「企業がSDGs推進するには~有職者アンケートより~」を、前・中・後編の3回シリーズでお届けします。お楽しみに。

次回:企業がSDGs推進するには~有職者アンケートより~<前編>(2023年12月5日公開予定)


関連ページ

>Z世代研究ならLINEリサーチ(https://mssinc.jp/service/lineresearch/
> 企業がSDGs推進するには 前編
> 企業がSDGs推進するには 中編
> 企業がSDGs推進するには 後編
> SDGsプロデューサー 沢村愛弓オフィシャルサイト(https://sawamura-ayumi-sdgs.com/

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