株式会社MSS

過去データの蓄積から、未来の仮説をつくれますか?

過去データの蓄積から、未来の仮説をつくれますか?

眠っている30年分のデータから、次の戦略論点を探り出す方法

6月配信記事では、自社データをAIで分析しようとしたときに、
「何を知りたいのか」
「どのデータをどう比べるのか」
を整理する必要がある、というお話をご紹介しました。

一方で、MSSに寄せられるご相談の中には、さらに大きなスケールのものもあります。
「過去30年分の調査データがあるんです」
「ただ、何が使えるのか、どこから見ればいいのか分からなくて……」
長年事業を継続されている企業様ほど、調査データやレポート、集計表、調査票が社内に蓄積されています。
それは一見すると、非常に大きなデータ資産です。
しかし、30年分のデータを前にしたとき、最初に考えるべきことは、単に「まとめて集計できるか」ではないかもしれません。
なぜなら、過去の調査データには、数字だけでなく、
その会社がその時代に何を気にしていたのか
・市場や顧客をどう見ていたのか
・逆に、何を見落としてきたのか
が残っているからです。

今回は、MSSに寄せられるお問い合わせの中から、
「長年蓄積された調査データを、次の戦略論点にどうつなげるか」
という課題を取り上げます。

話すのは、MSSの営業メンバーである神谷隼人と堀内茂。 営業現場で見えてきた、過去データの「再集計」にとどまらない活用の視点を考えます。
* 神谷隼人と堀内茂 はコラムのための架空の登場人物です。

30年分の蓄積データは、ただの古い数字ではない

30年分の調査データを活用したい、というご相談でした。 ただ、クライアント側でも、どこに何があるのか、何が使えるのか、まだ見えていない状態のようです。

30年分か。
それは、単なるデータ量の話じゃないね。

通常であれば、まずデータの棚卸し、調査票や集計表の確認、再分析可能な範囲の見極め、という話になります。

もちろん、それは必要だね。
でも、それだけで終わらせるのは、ちょっともったいない。
30年分あるなら、数字より先に見たいものがある。
その会社が30年間、何を問い続けてきたのか。 そこだね。

リサーチ課題や調査の歴史、ということですね。

そう。
たとえば調査票って、ただの設問の集まりじゃないでしょ。
その時代に、会社が何を不安に思っていたのか。
どんな顧客ターゲットの何を確かめたかったのか。
そういうものが、けっこう正直に残っている。

たしかに。
過去データを見る目的は、昔の数字をもう一度時系列で並べることだけではない。
自社が市場をどう見てきたかを読み解くことにもつながる。

うん。
30年分のデータって、会社の市場観の地層みたいなものだと思うんだよね。

調査票には、その時代の「市場の見方」が残っている

たとえば昔の調査票を見ると、価格のことを細かく聞いていた時期があるかもしれない。
その後、競合比較が増えている時期がある。
さらに途中から、ブランドイメージや顧客満足、推奨意向のような項目が入ってくる。
それを見ると、その会社の関心がどう移ってきたのかがわかる。
つまり、設問の変化そのものが、市場認識の変化を示している。
売れるかどうかを見ていた時代。
競合に勝てるかを見ていた時代。
顧客にどう受け止められているかを確認していた時代。
長く見ていくと、マーケティング目線の置き方が変わっていることがある。

それは単なる分析作業ではなく、マーケティングの意思決定史を読む作業に近いですね。 過去の調査票やレポートを見れば、当時の担当者や経営層が、何を重要だと考えていたのかが見えてくる可能性がある。

数字は結果だけど、設問は市場への関心事だからね。
どんな設問を立ててきたか、それをどう分析してきたかを見ると、その会社が市場をどう理解しようとしてきたかが見える。
しかも、面白いのは、設問として聞いてきたことがわかるだけじゃない。聞いてこなかったことも見えてくるよね。
30年分の調査を見て、ずっと聴取してきている項目がある。
一方で、長い間ほとんど聴取していないこともあるはずなんだよね。

「市場調査で聞いてこなかったこと」に、次の仮説が隠れている

たとえば、購入理由や認知経路は追ってきたが、離反理由はあまり聞いていない。
商品評価は聞いてきたが、利用後の感情や生活への入り込み方は見ていない。
満足度は聞いているが、顧客が何と比較して評価しているかは聞いていない。
そういうことですね。

まさにそう。
データが多いと、たくさん見てきた気になる。
でも実は、ずっと同じ角度から見ていただけ、ということもあるし、
違う視点が当時の市場分析の切り口としては不要だった、ということもある。

それはありますね。
30年分あるから十分に顧客を理解している、とは限らない。
長年の調査設計が固定化していることで、見えていない領域があるかもしれない。

昔から大事にしてきた指標はもちろん大切。
でも、時代が変わっているのに、設問や蓄積項目が変わっていないなら、そこにズレが出る。

過去データを活用するというのは、単に過去を肯定することではない。
過去の問いが、今の市場を見るうえでまだ有効なのかを検証することでもあるわけですね。

データの断絶も、企業の関心が変わった痕跡かもしれない

過去30年分のデータを見ると、設問や調査対象が変わっている時期も出てきます。
通常は、比較しづらい箇所として扱われがちですね。
でも、比較できないから使えない、ではなく、なぜその時期に変わったのかを見る。

そう。設問が変わったところって、分析する調査会社側としては困るところでもあるけど、実は会社の関心が動いたところかもしれない。
・新しい指標が入った。
・ある顧客層を見るようになった。
・逆に、昔は聞いていた項目が消えた。
そこには、市場環境や事業判断の変化がある場合がある。
もちろん、分析上は注意が必要。
でも、その断絶をただの欠点として見るのではなく、「なぜここで見方が変わったのか」と読むと、次の仮説につながることがある。

この相談を、単なる再集計案件として受け止めると、過去データを整理して、使える範囲で数字を出す、という話になります。ただ、30年分という規模なら、もう少し違う見方をした方がいい。 再集計ではなく、再読解ですね。

いい表現だね。
再集計は、数字をもう一度出すこと。
再読解は、その数字や設問の背後にある意味を読むこと。
データの中には、当時の会議室の空気みたいなものが残っていることがある。
「この市場を取りに行こうとしていたんだな」とか、
「この競合をかなり意識していたんだな」とか、
「この時期から顧客との関係を気にし始めたんだな」とかね。

それを読み解けると、現在の戦略論点につながります。
自社が長く見てきたもの、途中で見なくなったもの、今になって改めて見るべきものが整理できる。

そうなんだよ。
過去データって、後ろ向きに見るものだと思われがちだけど、ちゃんと読むと、未来の問いを作る材料になる。

最後に:古いデータを掘るのではなく、未来の問いを掘りおこす

今回のテーマは、
「30年分の調査データを、どう活用すればよいのか」
というお悩みについてのご紹介でした。


長年蓄積された調査データは、単なる古い数字の集まりではありません。
そこには、その企業が市場をどう見てきたのか、顧客をどう捉えてきたのか、何を重視してきたのかが残っています。
一方で、長く続いている調査だからこそ、見方が固定化していることもあります。

・ずっと追い続けてきた指標は、今も有効なのか。
・途中で追加された問いは、何を示しているのか。
・消えていった項目には、どんな背景があったのか。
・長年聞かれてこなかった問いはないか。
・今の市場環境で、改めて問うべきことは何か。

過去データを活用するとは、ただ再集計することではありません。
過去の問いを読み解き、現在の事業課題に接続し、次に問うべき論点を見つけることでもあります。

MSSは、過去データを単に整理・再集計するだけではなく、調査テーマや設問の変遷を読み解き、今のマーケティング課題や事業判断にどうつなげるかを一緒に考えます。
「昔から調査データはあるが、どう活かせばよいか分からない」
「過去の調査票やレポートを、今の課題に照らして見直したい」
「長年追ってきた指標が、今も有効なのか確認したい」
「次回以降の調査で、何を聞くべきかを整理したい」
そうした段階でも、ぜひMSSにご相談いただければと思います。

古いデータを掘りかえすのではなく、未来への仮説を掘りおこす。
MSSは、企業の“問いの歴史”を読み解き、次の一手につながる調査設計まで伴走します。


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